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過去の災害を学び、土地の個性を知ることで人と自然環境との共存を模索

人間環境学部人間環境学科 杉戸信彦准教授ゼミ
杉戸 信彦 准教授

  • 2016年12月15日 掲載
  • 取組み
  • 教員紹介

人間環境学部では「環境サイエンスコース」を設けており、サイエンス・マインドを持って持続可能な社会に貢献できる文系の人材を育成するコースがあります。
特に自然災害などの環境問題の解決には、自然科学からのアプローチもさることながら、市民をはじめとする利害関係者と対話しながら、多様な利害関係を調整し、対策について総合的な判断やコンサルティングができる人材が必要と言われています。それでは、杉戸ゼミの取り組みを見てみましょう。

前列左から、宮澤希代さん、杉戸信彦准教授、近藤沙也花さん、後列左から金子遙貴さん(前ゼミ長)、竹本悠真さん、西山知秀さん
※全員、人間環境学部人間環境学科4年


杉戸ゼミでは、自然地理学の観点から、土地の成り立ちや災害への取り組みを学び、人と自然環境との関わりを追究しています。

主軸の個人研究では、全27人のゼミ生それぞれが異なるテーマを設け、卒業論文に向けて取り組んでいます。並行して実施するグループ研究は、複数の意見を交えることで視野を広げます。個人研究の深化も視野に入れ、タイムリーな話題も扱います。さらに半期に一度、野外でフィールドワークを実施し、文献だけでは得られない現場感覚を学んでいます。

ゼミ活動を通じて、学生の知的好奇心を大切にしたいと語る杉戸信彦准教授。「災害時には土地の個性が浮き彫りになります。過去の歴史から学び、土地の個性を知ることで、自然環境が人の生活に与える影響の度合いを推し量ってほしいですね」。

杉戸准教授の声を受け、ゼミ生が選択する研究テーマは多岐にわたっています。例えば、ジオパーク(※)から見た日本の地質に関する研究に取り組んでいるのが近藤さん。「大地の遺産と呼ばれるジオパークに、興味が尽きません。まだ文献から得た知識でしか知らない地域は、将来訪れる機会を作って、自分の目で確かめてみたいです」。

「新潟県中越地震のニュースをきっかけに、地震のメカニズムに興味を持ちました」と語るのは宮澤さん。今は地震の予知はどのように行われるのか、研究を深めています。「ギリシャでは有効とされた地震を予知する手法も、地域性の異なる日本への適用は難しいなど、調べるほどに奥が深いです」。

今年4月に発生した熊本地震についてグループ研究で取り組んでいる西山さん。「個人研究では、出身地の近くを走る国府津I松田断層帯を中心に、活断層がもたらす影響を調べています。熊本地震は活断層のずれが原因と新聞報道されていたので、派生的に関連を調べています」。

気象に興味があり、都市におけるゲリラ豪雨について研究中の竹本さんは、その知識を将来につなげたいと考えています。「目標とする鉄道会社に就職できたら、土砂災害が起きやすい場所を検分するなど、万一の時の被害を最小限にする保全の強化に生かしたいと思っています」。

「災害の知識があれば防災施策も立てやすくなります」と語るのは、東日本大震災時の教訓から災害の交通機関への影響を研究している前ゼミ長の金子さん。「災害時の対応策は、広く有益な知識だと思うので、ゼミで学んだことを将来に役立てていきたい」と意欲を燃やします。

※地球科学の見地から、後世に伝え残す遺産価値を認められた地域。日本国内では、洞爺湖有珠山やアポイ岳、糸魚川など、43地域が日本ジオパークネットワークに加盟、うち8地域はユネスコ世界ジオパークにも認定されている(2016年9月現在)。

  • 2015年10月に小田原で開催した野外学習(巡検)。大地震の地形的痕跡について現地で検討した【写真左】
  • 2週を費やすグループ研究。1週目に下調べ結果を基に話し合い、翌週の発表に向けて議論と準備をする【写真右】

初出:広報誌『法政』2016年度10月号

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