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サッカーも人生も、大切なのは頭とハート  立ち止まらずに、生徒とともに成長し続けたい

前橋育英高等学校 校長・サッカー部監督 山田 耕介さん
法学部卒業

  • 2018年7月26日 掲載
  • 卒業生紹介

36年にわたり前橋育英高校のサッカー部監督を務め、1月の全国高校サッカー選手権で悲願の初優勝を果たした山田耕介さん。2016年度からは校長も兼務しながら、サッカーを通じた人格形成に情熱を注いでいます。

監督と校長の二足のわらじで生徒たちと本気で向き合う

起床後にサッカー部の寮生と体操をして、8時まではサッカー部監督として練習やミーティングに。8時を過ぎると、校長として打ち合わせや事務作業をこなして、放課後16時に練習が始まると監督に戻るという毎日です。

前橋育英高校に着任した時のサッカー部は弱小チームで、私のトレーニングメニューは「そんなつらいことはできない」とボイコットされ、すぐに誰も練習に出てこなくなりました。仕方なく朝夕グラウンドで一人だけで練習していたら、1カ月ほどして1年生が戻ってきてくれ、その後、上級生も戻ってきて、インターハイの群馬県予選で優勝。1年目で全国大会出場を果たしました。まぐれだったとは思いますが、生徒たちがこんなに短い期間で変化することに驚かされました。

部員が練習に戻ってきてくれると信じられたのは、高校時代のサッカー部監督、小嶺忠敏先のおかげです。小嶺先生には、本気で根気強くやることが大切だと教わりました。「考える暇があったら動く」をモットーとする小嶺先生は、70歳を過ぎた今も自らハンドルを握り遠征に出向かれる方で、その行動力には頭が下がります。

監督になって36年がたちますが、1年目と同じくらい強く記憶に残っているのが、4年目です。野球の甲子園に相当する全国高校サッカー選手権大会に、初めて出場しました。FIFAワールドカップのフランス大会に日本代表として出場した山口素弘くんがキャプテンで、ユニフォームを今の縦縞に変えたのもこの年でした。

生徒たちに身に付けてほしい

あらゆる場面で「どうにかする力」

サッカーは足を使うスポーツですが、生徒たちには「大事なのは頭とハート」と言い聞かせています。試合に出られない仲間の気持ちをくみ取れて、練習中も試合中も相手が言おうとすることを整理できる。そういう能力は、サッカーに限らず、あらゆる場面で通用するものです。サッカーの指導を通じて生徒の人格形成に関われるのが、この仕事のやりがいといえます。

サッカーでよくいわれる「クリエイティブ」とは、周囲がよく見えていて、その場に応じた最良の判断ができること。人生も同じで、視野が広くないといい判断はできません。

多少不条理なことも、考え方や動き方次第で展開を変えることができる。生徒たちには、そういう「どうにかする力」を身に付けてほしいと思っています。そのためには、私たち指導する側も常に視野を広げ、変化していかなければなりません。

昨年の敗戦以来、ライバル校の強みを研究して「セカンドボールの拾い合い」など5つの原則を掲げ、選手とスタッフがそれを常に意識してきたという

サッカーが導いてくれた前橋への道

大学時代は、サッカー中心の4年間でした。当時は練習場が川崎にあり、8人部屋の寮生活を送りました。

島原商業ではインターハイ優勝の経験もあり、それなりに自信もあったのですが、法政大学に集まってくる選手は皆スキルが高くて驚きました。また、高校のひたすら走るスタイルに対して、法政は頭を使ってパスを回していくスタイルで、サッカーにはこれという答えはないのだと気付かされました。

2017年9月に法政のサッカー部が35年ぶりに総理大臣杯で優勝しましたが、前回の優勝は私が3年生のときです。そして、4年生の夏、総理大臣杯の準決勝の試合と長崎県の教員採用試験が重なりました。教職課程の単位も順調に取得し、予選を勝ち進んでも試験を受けるつもりでしたが、最終的にサッカーを選んだのです。それなのに、試合には負けてしまい……。

その後サッカーの実業団チームからの誘いもありましたが、前橋育英高校とのご縁があり、「長崎で先生になる」という目標の半分がかないました。前橋に来たときには、「今の1年生が卒業したら長崎へ行く」と残りの半分もかなえるつもりでしたが、毎年新しい1年生が入ってくるので、生徒たちからも、前橋からもなかなか離れられずにいます(笑)。

失敗は、避けるものではなく成長するためのステップ

今回、前橋育英が優勝できたのは、前回の決勝戦で0対5の完敗という悔しさを味わったからこです。私自身、「準優勝止まりの勝負に弱い監督」と言われていました。 

努力を続けることは大切ですが、失敗を糧に成長することはもっと大切です。学生の皆さんには、積極的に前に進んで失敗してみることをおすすめします。必ず、そこで見えてくるもの、学ぶものがあります。失敗することは怖いかもしれませんが、それを恐れて立ち止まっていても、何も始まりません。

私も、今回の優勝を通過点として、さらに成長していかなくてはなりません。高校サッカーの指導はまだまだ続けますが、ゆくゆくは教え子たちにバトンタッチする日も来るでしょう。群馬県にはJリーグのチームもありますし、もっと幅広いフィールドで大好きなサッカーに貢献していきたいです。

入学式の式辞では、生徒の「学びたい」「変わりたい」「進化したい」気持ちをサポートしていくと述べた

山田 耕介 (やまだ こうすけ)

1962年長崎県生まれ。島原商業高校サッカー部でインターハイ優勝。1979年に法政大学法学部に入学、サッカー部で同年と1981年に総理大臣杯優勝。1983年から前橋育英高校の社会科教員、サッカー部監督。2017年からは同校の校長を務める。

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