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法政ならではの教育環境を活用し、スポーツビジネスに長けた人材を育成

スポーツ健康学部スポーツ健康学科
井上 尊寛専任講師

  • 2019年6月27日 掲載
  • 教員紹介

マネジメントやマーケティングの見地から、スポーツ文化の発展に向けて尽力する井上尊寛専任講師。研究から海外演習まで率先して学生たちをけん引し、実践力を磨いています。

消費者の行動を分析してスポーツの魅力を科学的に探究

スポーツ健康学科のスポーツビジネスコースに所属し、スポーツ分野のマネジメントやマーケティングに取り組んでいます。学生時代から親しんできたサッカーのほか、フィギュアスケート、ラグビー、野球など、幅広いジャンルを対象に研究を進めています。

スポーツを活性化するためにすべきことは何か。そのヒントは、スポーツ消費者(スポーツを楽しんだり、観戦したりするために時間やお金、労力を使う人)の行動に隠されています。特徴的な行動や傾向を調査し分析すれば、スポーツが持つ魅力や内在するニーズが浮き彫りになります。

例えば、スポーツ観戦をするにも、テレビ中継を楽しみたい人と、競技場で直接観戦することを好む人がいます。その行動の要因を科学的に解明して、競技場でもテレビ派の欲求を刺激するような訴求ができれば、入場者の獲得につながります。

スポーツマーケティングやスポーツマネジメントは、比較的新しい領域の学問です。経営学や心理学など、さまざまな分野の学問をまたぎながら、自らの独立性や独自性を探りつつ、学際的に知見を集積しています。スポーツファンとしての主観的な視点と、ビジネスとして判断する客観的な視点、両方の視点を擦り合わせた有効な着地点を見計らうことが大切です。

スポーツ科学が急速に発達し、スポーツを取り巻く環境は変わってきていますが、日本のスポーツ文化は、まだ成熟しているとは言い切れません。研究が及んでいない領域も数多く残されています。スポーツが活性化され、社会的・文化的価値が高まることで、スポーツを恒常的に応援しようという土壌が育ち、アスリートの育成環境も向上します。そのためにも、スポーツビジネスの知識を生かしてスポーツ振興に貢献するような人材が育つことを願っています。

教員のネットワークと協力体制が新たな教育の活路を開く

スポーツ健康学部は、創設10年目を迎えたばかりの若い学部だけに、新しいことへの挑戦意欲が盛んです。学生にとって有益な提案であれば、実現に向けて学部を挙げて後押しをしてくれる雰囲気があります。

何よりありがたいのは、多彩なキャリアを形成してきた先生方が、培ってきた人脈を惜しみなく提供してくださることです。私自身の研究でも、フィギュアスケートの国際的な競技会の観戦者を対象に調査を実施したいと相談したところ、山本浩教授をはじめ関係がある教員から紹介いただき、NHK杯国際フィギュアスケート競技大会という大舞台でデータ収集ができました。おそらく、個人的に打診しても足を踏み入れることすらできなかったでしょう。この時まとめた論文は、日本スポーツマネジメント学会から2017年度学会奨励賞をいただきました。

2019年度から新たにヨーロッパでサッカーのコーチング技術を学ぶ海外演習が始まります。このプランも、元サッカー日本代表のコーチである清雲栄純教授と、ドイツでプロの指導者ライセンスを取得した川田尚弘先生のご尽力によって実現に至りました。

人の縁でつながれた信頼のネットワークは、国内外へと張り巡らされ、学生たちを後押しする活力を生んでいます。そのグローバリゼーションは法政大学ならではの強みだと思います。

これからのスポーツ分野に求められるマルチな対応力

アスリートには専門種目での特出した才能が必要になりますが、スタッフの立場でスポーツ現場を支えるには、マルチな業務に対応できる力が求められます。マネジメントやマーケティングなどの専門性に加えて、プラスアルファのスキルを身に付けることが自分の武器になります。

そこで、スポーツビジネスコースの教員たちで協力し合い、意識的に合同ゼミを開催しています。それぞれの知見を持ち寄り、新たな視点を取り入れることで、学生の総合力向上に役立つことを期待しています。

スポーツ健康学部の学生たちの多くは、スポーツに関連する仕事への憧れを抱いて入学してきているので、大学での学びが自分の将来に直結することを早い段階から意識しています。まさに実践知の教育になるので、未来に連なる数々の選択肢を示すことが、自分の役割だと感じています。

実際に、どの道を歩むのかを決めるのは学生たち自身です。望む未来を手に入れるには何が必要なのか。アンテナを張りながら、貪欲に吸収してください。その姿に寄り添いながら、それぞれの実践知が芽吹くように、見守っていきたいと考えています。

コーチングとスポーツビジネスを融合した実践教育で、スポーツ文化を成熟させたい

大学時代も多摩キャンパスに通い、のびのびとした環境で大好きなサッカーに親しんでいました。大学院に進学した当時はサッカーの指導者になることを夢見ていましたが、やがてスポーツビジネスの観点からスポーツ界を支える人材の育成に携わろうと決意。スポーツ健康学部の設立を機に、母校に戻ってきました。今では、その判断をして良かったと感じています。

スポーツ教育の良さは、技術の習得だけでなく、人間力の育成にもつながることです。その効果を期待して、2020年度より、野外演習にキャンプ実習が新設されます。電気も通信も通じない自然に囲まれ、協力し合って野外生活をすることで、自然との共生や他人との関係性を見つめ直せるようなプログラムにしたいと考えています。

研究の専門分野はスポーツビジネスですが、サッカー指導にも思い入れがあるので、ゼミとは別の課外活動として、サッカーの選手・指導者育成にも携わっています。日本サッカー協会に登録する関係で社会人リーグに所属していますが、チームメンバーは多摩キャンパスの学生たちです。サッカーの試合を楽しむと同時に、指導者のコーチングやトレーナーの実践教育にも役立てています。その他にも試合中のデータ収集や分析など、スポーツビジネスの研究に生かす活動を広げていく予定です。

スポーツの中でも、サッカーというコンテンツは、学生を引きつける可能性を数多く秘めていると思います。東南アジアでもサッカー人気は高く、ベトナムやタイ、インドネシアなどでは、プレーヤーや指導者の育成に力を入れるために、アジアでの先駆者である日本に来てサッカーを勉強しようとする動きが強まっています。将来的には、スポーツ健康学部でも留学生の受け入れを考えていくことになるでしょう。

その半面、北米やヨーロッパなど成熟したサッカー文化を持つ諸外国と比較すると、日本ではまだ研究されてない領域がたくさんあります。そのためにも、日本でのサッカー文化をもっと成熟させ、サッカー人口の層を厚くしていきたい。さらに、サッカーで培った研究実績をベンチマークとして、他のスポーツへと展開していく提案もできるのではないかと期待しています。

周囲の協力により、海外での実践的な演習も可能に。 写真はコーチング海外演習の事前視察で、スペイン のラ・リーガ2部のサッカーチームを訪れた際の一枚

スポーツ健康学部スポーツ健康学科

井上 尊寛専任講師

1977年鹿児島県生まれ。法政大学経済学部国際経済学科を卒業後、筑波大学大学院体育研究科体育方法学博士前期課程修了。2010年より本学スポーツ健康学部に専任講師として着任。現在に至る。日本スポーツマネジメント学会、日本フットボール学会所属。
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