• ホーム
  • 教育
  • 2021年度(第5回)「自由を生き抜く実践知大賞」選定理由とエントリーした全実践事例への総長コメントを紹介します

2021年度(第5回)「自由を生き抜く実践知大賞」選定理由とエントリーした全実践事例への総長コメントを紹介します

  • 2021年12月23日 掲載
  • ニュース・イベント
  • 取組み
12月18日(土)に、2021年度(第5回)「自由を生き抜く実践知大賞」表彰式を市ケ谷キャンパス外濠校舎6階薩埵ホールにて開催しました。
詳細は、以下よりご覧ください。

リンク:2021年度(第5回)「自由を生き抜く実践知大賞」表彰式を開催しました

廣瀬総長より、受賞された実践事例への選定理由コメントと、エントリーした全ての実践事例にコメントが寄せられましたので、下記の通り紹介します。
受賞した実践事例以外にも、「実践知」を生み出している素晴らしい事例が数多く存在しています。ぜひご覧ください。

◆掲載内容

実践主体/実践事例名称
廣瀬総長からのコメント

総長からの選定理由コメント

◆各ノミネート団体の実践事例概要はこちらからご確認いただけます

大賞

小金井企画実行委員会/Webアプリ「MiNERVA」を用いたコロナ禍の安全な行事運営
小金井キャンパスの新入生歓迎行事や学園祭をキャンパスに集って開催するために、新型コロナウィルス禍での行事運営の安全確保策として、独自のWebシステムを構築し、スムーズで正確な参加者の管理を実現した。スマホ・ネイティブ世代の理系キャンパス生が、コロナ禍においても充実した学生生活を可能にするために、ICTについての専門知識、技術を活用して行事の円滑で安全な運営を実現する力となった。また、そのシステムをオープンソース化して、同じ状況下にある学内外の大学生がこれを使えるようにした結果、小金井の工学展など、他団体主催の行事においても活用され、コロナ禍の学生生活の活性を支えている。自分たちのためだけではなく、同じ課題に直面した他者と連携し、課題解決の輪を広げていこうとする姿勢には、持続可能な社会の実現に貢献することを目標に掲げる法政大学憲章「自由を生き抜く実践知」の精神を体現するものとして、高く評価できる活動である。

社会の課題解決賞

現代福祉学部 保井美樹・今井裕久ゼミ/若葉台住宅ワクチン代行予約プロジェクト
2021年度前半に大きな社会的課題となったのは、ワクチン接種の予約がなかなかスムーズにとれないことだった。特に、高齢者にとって、つながらない電話と慣れないオンライン予約システムが壁となっていた。この状況に対して、普段のゼミ活動のフィールドとして縁のあった相模原市緑区若葉台住宅において、住民組織と連携して、ゼミ生がインターネットを使って希望者の予約を代行した取り組みである。コロナ禍で地域に実際に出て対面での交流や支援を行うことが困難な状況下で、切実な課題となっていたワクチン接種の予約確保を、個人情報に配慮しつつ実現した。意義ある支援を実現したことに加えて、地域の助け合い精神に、世界がどのような状況であっても生き抜く力があることを実践的に学ぶ機会となったものと評価できる。また、この取り組みを経て獲得したノウハウを「ワクチン予約代行マニュアル」として広く公開し、同じ課題をかかえる他の地域においても地域を動かす種をまく意義をもち、共感のもとで持続可能な社会の未来を実現していく一助となった。

よき友への共感賞

通信教育部 学生会サークル 市ヶ谷パッションズ(ICHIGAYA PASSIONS)/あなたの部屋が法政大学(Your Room is Hosei University)

「全国どこからでも参加できる」「皆の知恵を集める集合知」「ポジティブに考える」を基本コンセプトに、学生による学生のための活動として、ZoomやSlackなどのオンラインツールを活用して、各地に広がる老若男女を問わない通信教育部生の、活発な情報交換と交流を展開している。通信学習を主とするためともすれば孤独との闘いになりがちだという、通教生にとって宿命的な課題を、コロナ禍で一気に普及したオンラインツールを活用することによって打開する取り組み。コロナ前までに各地で行われていた対面での学生会には、地理的、時間的制約で参加が困難な学生も少なくなかったが、オンラインミーティングを活用することによって、参加へのハードルが下がり、活発な交流活動を実現している。皆で集うつながりを支えとして、卒業への情熱を絶やさない学習の輪となっており、活動内容も多様性を増してきている。コロナ後には、コロナ前よりも充実した大学生活を実現するということを、自らの手で現に実現していることを高く評価したい。

進取の学び賞

法政大学国際高等学校 ×法政大学/リレー講義「高校生と考える<COVID-19>」(全15回)

法政大学×国際高校の高大連携によるリレー講義4年目の2021年度は「高校生と考える<COVID-19>を統一テーマとし、いままさに私たちが直面しているコロナ禍について、12学部から分子生物学、数理統計学、政治学、社会学、経済学、観光学、歴史学、情報科学、文学、言語学等々の様々な専門分野を背景としたアプローチで考える授業となった。大学から紹介される「多様な視点と先見性を備えた研究」によって、受講生徒の知的好奇心が大いに刺激されるとともに、ワークショップによる掘り下げを契機として、自ら考えを深めることにつながっていった。「私のような普通の高校生にできることは何もないと思っていたが、この講座を通して社会で起きている問題を理解したり考えたりすることの大切さを学んだ」という受講生からのコメントが、この授業の価値を象徴している。総合大学の付属校であることをフルに活かした、高大連携の可能性の大きさを示す実践として高く評価したい。

持続可能な未来賞

デザイン工学部 川久保研究室/オンラインSDGsプラットフォームの開発

先駆的にSDGsの達成に取り組む行動主体の実践知を共有する知のプラットフォームを開発し、広く利用に供することによって、空間や属性等の違いによらず、また、対面での交流に制限がかかる状況のもとでも実践知の共有を推進することに貢献する取り組みである。先行して整備されたLocal SDGs Platformは全国47都道府県、1741の市区町村におけるSDGs取り組み状況を定量的に把握することが可能なシステムとなっており、自治体の取り組みの特長を可視化する機能も備えている。すでに3000名を超える利用者があり、その中には大阪府が府の将来ビジョン策定時にこのプラットフォームの機能を活用しているなど、エビデンスに基づく政策立案の基盤となっている。さらにその次のステップとして、自治体だけではなく産官学民のあらゆる行動主体のSDGsに関する取組を共有し、マッチングすることができるプラットフォームの開発にも着手している。これらを通して、文字通り持続可能な社会の未来に貢献する取り組みとして高く評価できる。

ノミネート実践事例への総長コメント

法政大学国際高等学校/ウォーターミッション for カンボジア

オンラインでのフィールドワークにもとづいたプランニングを、単に計画、提案することに留めるのではなく、クラウドファンディングによって実行段階に進めることによって課題解決の実感をともなった学びになった。

理工学研究科 小林寧々 株式会社amulapo/衛星データを用いたwithコロナの新たな観光提案アプリケーション「星みくじ」

東京周辺でも、十分に星空を楽しむことが出来る場所があることを、スマホで確認できるようにした取り組み。時間のとれる晴れた夜にはこのサービスを活用してぜひ星空を見に行こうと思いました。

多摩オープンキャンパスリーダーズ/オープンキャンパスの枠を超えた支援活動
コロナ禍での活動を、もともとの役割であったオープンキャンパスに留めず、支援対象を広げた発想力が素晴らしい。新入職員に対して在学生がキャンパスツアーを行っている大学は法政が唯一ではないだろうか。

VSP(ボランティア支援プロジェクト)/コロナ禍での VSP オンラインボランティア
コロナ禍で活動を中止、縮小するのではなく、オンラインに展開することによって、垣根を越えていままでつながれなかった人々にボランティアを提供することができた。コロナ禍は「機会」でもあり得るということを実証した取り組み。

人事部人事課/日本版スチュワードシップ・コードの受入れ
年金基金の運用は、加入者のための活動だが、スチュワードシップ・コードを受け容れることによって、それを社会的な課題解決に連動させていくことが期待される。大学憲章の理念の具体化はこういう活動の積み重ねによって実現されることを教えてくれる取り組みだ。

デザイン工学部 今井研究室/迷わず乗れるもん(アーバンデータチャレンジ2020)
いつどこに居てもネットワークにつながれる環境があるいまだからこそ、古くからある公共交通であるバスも、ここまでグレードアップできるはず。ポストコロナにはこういうサービスが実現していると良いなぁと期待がふくらむ提案。

エントリー実践事例への総長コメント

◆各エントリー団体の実践事例概要はこちらからご確認いただけます

国際文化学部 稲垣ゼミ/アートプロジェクト 私の場所

感染状況が転変するなかでも、時期時期に可能なことをあきらめずに追求しながら、サテライト展示やオンライン展示という形で成果を形にしていく姿勢が素晴らしい。短時間のインタビューでも、地域の方々との共同作業はしっかり成立していると感じた。

現代福祉学部の有志3名(学生の自主活動)/アップサイクルマスクを通じた日本・パキスタン間の国際協力

アップサイクルという考え方を、新型コロナで浮上してきた透明マスクへのニーズと結びつけて具体化した取り組み。「組合わせる」ことによって実践の価値が飛躍することがよく分かる活動だ。

小金井キャンパス(情報科学部・理工学部・生命科学部)/SDGs法政大学未来予想グランドデザイン
未来をつくる当事者としての感覚を生む取り組み。グループ相互の取り組みを共有することでアイディアがさらに豊かになっていく過程が目に浮かぶ「活きた実践」になっていることが実感できました。

自主マスコミ講座 有志チーム(47名)/NHK「らじらー!×すずさんラジオ特番2021」

コロナ禍の制約下でのラジオ番組の制作は、普段の環境下で取り組む時よりも知恵を絞り、いま出来ることのなかで最高の成果を実現する取り組みになった。リスナーからの反響にそれがあらわれていると思います。

国際文化学部/海外フィールドスクール(表象文化コース)海外研修プログラムのオンラインによる取り組み

芸術や文化活動を媒介させることが、対面でのコミュニケーションが出来ない場合にも、有効な交流と学びを可能にすることであることを目に見える形で表現してくれる取り組み。成果としての作品を鑑賞したいと感じました。

理工学部 加治木基洋 ほか他大学学生/GAFAMラボ

何よりもまず、自分が動いて思いをぶつけてみること。それが相手に響けば何かを実現することができる。それを実証する場を共有できた参加者にもきっと大切なものを残せたと思います。

キャリアデザイン学部 坂本ゼミ/COVID-19パンデミック下における留学生への学習支援

困難な状況の下にあるとき、何よりも怖いのは孤立である。ゼミ生の留学生の問題提起を受け止めて、法政の在学生に限定しないオンライン交流会という場を開かれた形で実現した。

グローバル教養学部 Self and Culture Seminar(新谷ゼミ)/コロナ禍における社会心理学の貢献を考える

ゼミ活動そのものが、社会としっかりつながっていることを示す取り組みの好例。現在直面している課題につなげたことによる学びの深さと、自分たちが学んでいる学問の力を確認できたことは、必ず今後の力になるものと思います。

グローバル教養学部/GIS Relay Program

もともと緊密なコミュニティを形成してきたからこそ直面した、コロナ禍の制約を、授業外にオンラインで学年間をつなぐ場の設定によって乗り越える試み。コロナ前の学生生活を経験している3,4年生からのバトンがきっとつながるものと期待します。

デザイン工学部(エコ地域デザイン研究センター)/外濠市民塾

キャンパスの目の前にある外濠を、多彩な専門家から学び、実際に歩き、外濠周辺を日常的に使いこなすことによって外濠の価値を高めていくための多彩な研究と活動を2013年以来継続して展開している。この活動を学生が主体的に企画運営を行っていることは特筆すべき。

法政大学ボランティアグループ Crocus/今こそ密な思い出を「zoom学童」

仲間とともに楽しむことは、コロナ禍のように日常生活自体もどこか閉塞感をともなう時期において、とても大切なことだ。学生だからこそ児童に提供できる楽しさは、学校や先生には難しいことだったと思う。

文学部地理学科山口ゼミ(気候ゼミ)/私たちの暮らしへの気候影響を明らかに
私たち一人ひとりがそのなかで生活を送っているのが気候。それを対象として専門を磨き上げていく人材育成は、それ自体法政大学のSDGsへの取り組みのひとつに他ならない。

国際文化学部 国際文化学科 桐谷・熊田ゼミ/上海外国語大学共同ゼミ

コロナ禍で、身近な人とは遠くなったが遠くの人とはとても近くなったという言葉をよく耳にする。それを象徴するような日中共同ゼミの取り組みは、きっと双方の参加者にとって大きな刺激となり、思考が深まる契機となるだろう。

保健体育センター/新型コロナ感染防止対策:体育会への指導~動画と対策確認テストによる~

感染症に関する情報が溢れているなかで、ビジュアルなコンテンツとGoogle Formによるクイズを組み合わせることによって、訴求力のある感染防止のためのガイドラインを徹底しようとした取り組み。今後のプロトタイプとなることを期待したい。

日本語教育プログラム(JLP) Jラウンジ学生スタッフ/日本語教育プログラム(JLP)ボランティア学生スタッフによるJラウンジの運営活動

学生生活は授業だけで成り立っているものではない。学生同士の横のつながりや、日常的な非公式のコミュニケーションが果たしている役割は大きい。それをオンラインで日本に来られていない人を含む留学生に提供しようとする工夫は貴重なものだ。

理工学部 創生科学科 学際宇宙ゼミナール/福岡県八女市星野村における空き家問題解決に向けたアクションリサーチ

学際宇宙ゼミナールの活動が、空き家問題解決のためのアクションリサーチに展開してきたことが現代社会の課題を象徴している。天体観測はそれだけで成り立っているものではなく、観測適地の人や暮らしとも直結していることがよく理解できた。

人文科学研究科/文芸創作家を招いた「作家特殊研究」の授業実践

オンラインを中心とした運営であっても、文芸創作家と学生との対話を通して新しい視点や作者自身の証言を引き出すことはできる。その成果を例年通り研究冊子として結実させた実践に敬意を表したい。

法政大学国際高等学校2020年度3年IV期特別講座「地球市民教育をつくる」PASS活動改善立案チーム/PASS活動の改善に向けた提案書の作成

高校3年次の生徒たちが、大学進学前の「仕上げ」の時期に、今後に向けての教育プログラムの改革、改善提案を取りまとめた活動。生徒は授業の客体ではなく主体だ、という理念を具体化するものだ。

グローバル教養学部 小堀セミナー/『Fly High with English!』

教えることほど、学びにつながるものはない。オンラインという従来とは違う方法での英語講座の実践は、教室での授業が自明の前提としていたことを改めて意識しながらの学びの機会となったことだろう。

自主マスコミ講座34期有志/法政マスク・除菌シート寄付プロジェクト

単に募金を赤十字に寄付するというのではなく、コロナ禍の必要を満たすマスクと除菌シートを、大学ブランドのもとで商品化し、そのマーケティングも工夫しながら成果をあげる取り組みに展開したところが素晴らしい。

国際文化学部 松本ゼミ/法政大学懸賞論文に挑み続ける

思量はひとりで行うだけではなく、他者との対話の中で深められ、それをあらためて形にするためにひとりで懸賞論文として仕上げる。毎年継続されるその作業の成果が、見事な入賞結果にあらわれている。

Voice Up Japan法政支部/法政大学内生理用品無料設置プロジェクト

状況の変化によって潜在していた課題が顕在化し、問題の存在に気付く機会となることがある。その気づきを解決策の提言活動へと展開した。実現の条件をどう整えていくかの立案に展開されていくことを期待したい。

図書館事務部市ヶ谷事務課/本でつながるコミュニティ 法政ブックLab

読書は必ずしも孤独な作業ではない。著者との対話であるとともに、他の読者とのコミュニケーションによって、より豊かな経験になり得る。オンライン読書会によってコロナ禍でもそれを確保する取り組み。さらにこの輪が広がることを期待したい。


ページトップへ