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【HOSEI PHRONESIS】販売実績データなどを分析して消費者行動を科学的に解明

経営学部経営戦略学科
猪狩 良介 准教授

  • 2022年7月21日 掲載
  • 教員紹介

データを分析して消費者行動を予測するマーケティング・サイエンスに取り組んでいる猪狩良介准教授。ビジネス現場で役立つ実践知の構築に意欲を燃やしています。

企業が収集したデータから消費者の購買行動を分析

専門分野は、統計学、マーケティング・サイエンスなどです。

マーケティング・サイエンスとは、データ分析などの科学的なアプローチから、顧客ニーズの把握や市場の傾向予測などのマーケティング活動に取り組む研究分野です。

具体的には、企業が収集している販売実績データや行動履歴データに基づいて消費者の行動を分析し、商品を購入するタイミングを予測するモデルの開発や広告効果の科学的な解明などを手掛けています。

インターネットの普及に伴い、消費者が品物を購入する行動は多様化しています。大別すると店舗での購入とインターネットからの購入になりますが、この二つは分離しているわけではありません。インターネットで商品情報を検討してから店頭で購入したり、店頭で実物を確かめてからインターネットで価格を比較して購入するなど、複合的に活用していることも増えています。こうした環境を考慮した上での購買行動の分析も手掛けています。

収集したデータを科学的に分析するという意味では、近年注目されているデータ・サイエンスに近い研究でしょう。ただ、データ・サイエンスが予測精度の高さを求めるのに対して、マーケティング・サイエンスは背後のメカニズムを把握し、要因や原因を見いだすことを重視します。

例えば、ある商品の売り上げが急激に伸びた場合、原因として考えられることは一つではありません。他社の類似製品からのスイッチが増えた場合もあれば、その商品に対する消費者のロイヤルティー(忠誠度)が上がったことが原因ということも考えられます。複合的にデータを分析することで、その結果に至った要因や消費者の行動メカニズムを探るのです。

現状の研究では、データを頂いた企業に分析結果をフィードバックするというスタイルが主なので、今後は分析した予測結果を現場で検証することで質を向上させ、マーケティング施策の検討に貢献していきたいですね。

学生時代に米国シカゴを訪れた際の一枚。海外の研究者と初めて交流したことで、良い刺激を受けた

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多くの人と協力し合いながら研究の質を高めていきたい

2018年から、経営学部の教壇に立つようになりました。

経営分野では実務に直結した研究を手掛けることが多いですが、統計学やデータ・サイエンスの手法を加えることで、さらに実践的なアプローチが可能になります。法政大学が大学憲章で掲げている「実践知」の育成に役立てるのではないかと考え、お世話になることを決めました。

法政大学の経営学部にはマーケティング分野の研究で優れた実績を残されている先生方が多いので、良い刺激も受けています。

私が手掛ける研究では、分析データを企業から提供いただくことが多く、企業との連携が欠かせません。企業との共同研究など、学外とのつながりを推奨し、応援してくれる大学の研究環境にはとても感謝しています。

マーケティング・サイエンスは学際的な知見が必要になる学問分野です。人間の消費行動を分析するためには、目には見えない意識を理解するためにも、心理学の知見は欠かせません。さらに、市場を理解するための経済学、効率的なデータ処理をするための情報科学なども必要です。

総合大学である法政大学には、専門家として、これらの知見をお持ちの先生方がいますので、機会があれば協力して共同研究を手掛けることにもチャレンジしたいと考えています。

2019年には、会社員時代の同僚をゲストスピーカーとして招き、広告効果に関する講義を実施。学生の関心が高い授業になった

2019年には、会社員時代の同僚をゲストスピーカーとして招き、広告効果に関する講義を実施。学生の関心が高い授業になった

実務に役立つ応用力を身に付けてほしい

統計学を駆使したマーケティング・サイエンスは、理系に分類される情報科学に近い学問と考えられます。そのため直感だけでなく論理的に考える力、分析結果を裏付ける根拠を見いだす力を培うことが大切です。ビジネス現場では、質の高いデータ分析をするための応用力も求められます。

そこで学生に対しては、実際のビジネスの現場をイメージできるようにグループワークに取り組み、学外のビジネスコンテストへの参加なども推奨することで、協力して研究を進める力や、プレゼンテーション力など実践的な力の強化を促しています。

大学で学べる内容、特に経営学部で学ぶ内容は社会に出て役に立つことばかりなので、ぜひ授業を通じて多くの知見を吸収してほしいと思います。学習に好きなだけ時間を費やせるのは、学生の間だけです。今の自由時間を活用して、自らの手で課題に取り組み解決していく「実践知」を身に付けてほしいと願っています。

2022年度のゼミ生との集合写真。ゼミでは、学生が自分たちの力で課題を解決する力を培えるように、学生主体の活動を見守っている

2022年度のゼミ生との集合写真。ゼミでは、学生が自分たちの力で課題を解決する力を培えるように、学生主体の活動を見守っている

(初出:広報誌『法政』2022年6・7月号)

経営学部経営戦略学科

猪狩 良介(Igari Ryosuke)

1985年8月生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、名古屋大学大学院経済学研究科産業経営システム専攻修士課程修了、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。株式会社ビデオリサーチ、日本学術振興会特別研究員(DC1)、専修大学人間科学部非常勤講師、慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師などを経て、2018年本学経営学部経営戦略学科専任講師に着任。2020年から現職。理化学研究所AIPセンター客員研究員。

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